勉強は何の役に立つ?
面白さを見つけよう

 「これを勉強して、何の役に立つの?」
 子どもたちからよく出される疑問です。
 これに対して、「知識は役立たなくても、考える力が身に付く」「社会と関わって生きていくためには、社会や自然の仕組みを知っておくことが大切」などと答えることも可能です。しかし、その説明では納得できない人もいるでしょう。

 少し別の角度から考えてみましょう。例えば、あなたが何かのスポーツに熱中しているとき「スポーツをやって、何の役に立つの?」と考えるでしょうか。
 もちろん「何の役に立つの?」と問われれば、「体力、精神力、協調性などが身に付く」という説明も可能です。でも、何かの役に立つからでなく、それが好きだからやっているのです。取り組んでいて自分が生き生きとできるのなら、「何の役に立つの?」という疑問は起こりません。
 「勉強は何の役に立つの?」という疑問は、その教科に興味が持てないときに生じやすいということです。ですから「何の役に立つの?」という問いを、「何が面白いの?」と置き換えてみてはどうでしょうか。
 先生はきっとその教科の面白さを知っているはずです。関心を持っている友達もいるでしょう。そういう人たちに、どんなところが面白いかをよく聞いてみましょう。本当に興味を持っている人の話をきちんと聞けば、あなたにも興味がわいてくるかもしれません。
 私も、今の自分が興味を持っていることについて振り返ってみると、そのことに興味を持っていた誰かの影響を受けていると思い当たります。
 もっとも、そのとき、ふと面白そうだと感じても、それは長続きしないかもしれません。内容がきちんと理解できなければ、興味は薄れていきますから。分かりやすく説明してくれる人や本を探したり、どうすれば理解できるかを人に相談したりすることも大切です。

 でも、やっぱり自分には勉強する意味が分からないと、あなたは言うかもしれません。あなたにとって価値があり面白いと思えるものは、今やっている勉強のようなものとは異なるのでしょう。あなたが「何の役に立つの?」という疑問を持たずに取り組めることは何でしょうか。そこを掘り下げていけば、あなたがやるべきことが見えてくると思います。 

  <2013.9.29 中日新聞「親子でホームルーム」>

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