一人でもいい
友達との距離 適度に

 中学校で友人関係がこじれたという人の話を聞きました。
「その子のことが好きだったわけではないけど、その子と一緒にいないと自分が一人になってしまうと思い、いつもくっついていたんです」と打ち明けてくれました。嫌われないように、何でもその子に合わせていたのに「他の子に私の悪口を言い始めたので、学校に行くのがつらくなった…」とも言いました。
 「あのときは、私が気を使い過ぎたから、うまくいかなかったと思っています。今の私は、無理に合わそうとは思わなくなりました。別に一人でもいいって思えるようになったんです」。このような気持ちの変化の背景には、気を使わなくてもいい仲間と学校外で出会ったことがありました。

 学校では、一人でいるのは肩身が狭いと感じるかもしれません。「休み時間は、友達と仲良さそうにしていないと場がもたないから疲れる」という人もいます。一人にならないために、気を使って人といようとする。そのように不自然に気を使っていると、どこかでひずみが生じます。実際には、一人でいることを本気で見下す人はごく少数でしょう。むしろ、グループ行動していないので話しかけやすいと感じる人やマイペースを面白いと思う人だっています。
 そもそも、学校での人間関係を全世界のように考える必要はありません。学校の外にはもっと広い世界があるし、学校生活が永遠に続くわけでもありません。学校での人間関係に気を使い過ぎて自分をすり減らしていくのはもったいないことです。

 放課後も、スマホや携帯で学校の仲間と連絡を取り続ける人も少なくありません。そうやってコミュニケーションが深まる面もあるでしょう。でも、自分がどう思われるかが気になるからメールのやりとりを切り上げられないということはないでしょうか。人間関係に依存し過ぎないように、人と適度な距離をとることも大切です。

 人間関係では、相手に合わせようとする前に、自分はどうしたいのかを考えてみましょう。自分の本当の気持ちに従って行動していく方が、気持ちよい関係を築けるはずです。

  <2015.3.29 中日新聞「親子でホームルーム」>

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