ほかの子の悪口を聞かされたら

友達が他の子の悪口を言ってきたら、あなたはどうしますか。
 例えば、「あの子ムカつくよね」と、あなたにも同意を求めてきたら?
「だよねー」などと、つい、調子を合わせてしまうことはないでしょうか。同調しておいた方が、その友達との関係は安心のように思えます。けれども、悪口を言われている子とは自然な会話がしにくくなるかもしれません。あなたもムカついていることになったわけですから。そして、このように同調する人が何人かいると、仲間はずれやイジメのようなことにつながっていくこともあるでしょう。

 誰だってムカつくこともあるでしょうし、そのことを人にしゃべりたい時もあるでしょう。だから、あなたの友達がムカついているのであれば、それを聞いてあげるのは、友達として自然なことかもしれません。でも、「ホントだよね」「私もムカつく」などと同調する必要はありません。「ふーん…?」「そうなの?」とか「へー、そういうところがムカつくんだ」などと中立的に返事をすることだってできるはずです。
 「何をくだらないことでムカつくとか言ってんの(笑)」とか「私はそうは思わないけど」などとさらりと言えると、さらによいかもしれません。あるいは、「(ムカついている相手に)直接言ってみなよ」とすすめてあげるのはどうでしょうか。もしかして、直接話してみたらそんなに悪い相手でもないと感じるかもしれませんし、言われた相手の方が態度をあらためてくれることだってあるかもしれません。そんなにうまくいかないとしても、直接言うことで、ムカついている本人の気持ちが少しはすっきりするでしょう。

 「先生には反抗することができる。でも、同級生に対して、自分が違うことを言うのは難しい」と言っていた人がいます。私たち大人でも、考え方が全く違う人に自分の意見を言うのは簡単でも、仲間意識のある集団の中では、みんなと違う意見を言いにくいと感じることがあります。でも、自分が違う感じ方をしているのであれば、ためらわずに早く言っておく方が良いのです。初めにいいそこねると、ますます自分の本当の気持ちを言い出しにくくなっていきます。 
 友達から他の子の悪口を言われたとき、自分の気持ちとずれていることには、決して同調しないことです。多くの人がそのようにすれば、イジメのようなことも起こりにくくなるはずです。

<中日新聞2010年5月23日付「親子でホームルーム」に一部加筆>

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