「今」を大切にする
自分の意志で時間使う
「時間を大切にしなさい」と言われたことはありますか。
どんなときに「時間を大切にできた」と思えますか。中高生の人たちに聞いてみると、「人と良い関係をつくれたとき」「友達と会っているときにはそんなことを考えないけど、バイバイってした後で、いい時間だったなという気持ちになる」「自分に何かが得られたとき。何かを学んだとか」「自分が少しでも変わったと思えるとき」「何かに没頭できたとき」といった答えが返ってきました。
ゲームやネットについては、次のように話してくれました。「ゲームは時間のムダと思う。でも楽しいから、やる」「自分がやったことにすぐ反応が返ってくるからゲームは楽しい。現実ではそんなことないから」「ゲームを作った人が考えた世界の中で遊ばされていると感じると、ちょっとむなしい」「友達とのコミュニケーションのツールですよ、ゲームは」「ネット中毒になりかけた。一体、私は何をやっていたんだろう」…。
ところで、子どもに「時間を大切に」と言うとき、大人は何を期待しているのでしょうか。それは、勉強や心身を鍛えるなど、将来に役立つように時間を使ってほしいということかもしれません。今、子どもがやりたいことから出発して考えるというよりは、将来から逆算して考えているともいえます。子どもと大人は、視点が異なるからこそ、話し合う意味があります。
でも、将来の準備のために使うことが、「今」という時間を大切にすることなのでしょうか。今の目的がずっと先にあると考えると、生き生きとしたものが失われないでしょうか。
それに、先のことは子どもには実感しにくいものです。将来から逆算してやるべきことを考えるとき、それは子どもの判断ではなく大人の受け売りになりがちです。そして、与えられた課題をこなせばいいと思ってしまうと、何をやりたいか自分から本気で探さなくなります。
自分は何をやりたいか、この先どうなっていきたいか。人と話し合いながら、自分の頭でしっかり考えましょう。今、自分の意志を大切にすることが、将来を切り開く力にもなるはずです。
<2014.6.29中日新聞「親子でホームルーム」>