自信がない

 もっと自信を持ちたいと思ったことが、あなたにもあるかもしれません。 例えば、言いたいことが言えない、気持ちを集中できない、人の目が気になってしまう、ちょっとしたことで気分が落ち込む、といったようなことは、自信のなさと関係ありそうです。
 自信を持てないのは、何かができないから、と思われがちです。勉強ができないから、スポーツが苦手だから、得意なことがないから、と。しかし、苦手なことや、できないことは、誰にでもあります。それでも自信を失わない人もいます。本当は、何かができないから自信が持てないのではありません。できない自分はダメと思ってしまうから、自信が失われるのです。自信を持てずにいた人が少しずつ自信を身につけていく姿を私は見てきましたが、この人達は何かができるようになったから自信がついたわけではありません。自分を受け入れてくれる人との関係を通じて、自分のできない部分を自分で受け入れられるようになることで、自信が回復したのです。
 自信がないという人と話していると、その人にしかない魅力や良い面があるのに、自分はダメだという気持ちに支配されてしまって、自分のいい面が見えなくなっていることがあります。親やまわりの期待通りにできないために、自分の価値が低いと感じてしまうこともあります。でも、期待されていることとは違うところにその人の良さがあるかもしれません。あなたの悩んでいることや自信を持てずにいることを人に話してみましょう。人と話すことで、自分のことを客観的にながめることができるようになります。そして、話すことによって、人との関係も築かれていきます。「何もできなくても、人間関係さえあれば、生きていける!とわかりました」と語ってくれた人がいます。この人は、それまで自信が持てずに苦しんできたのですが、人との関係を通して、少し自信が持てるようになったのです。
 自信は、日々を生き生きと意欲をもって生きていくために大切なものです。自信満々である必要はありません。ほどほどの自信でよいのです。できない自分をダメとは思わず、自分は自分なりにできることをやっていけばよいのだと思えれば、しめたものです。  

<中日新聞2010年11月21日付「親子でホームルーム」に一部加筆>

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