まなび場の様子

■■子どもを尊重すること■
 子どもは、その人の感じ方やその人らしいあり方がきちんと受けとめられ尊重されてこそ、自分自身への信頼感が育ち、自ら変化していく力が引き出されていきます。子どもを一方的に大人の思い通りにしようとするのではなく、ほったらかしにするのでもなく、その人の多面性・多様性とつきあいながら、「どんな人間関係や体験、どんな知的世界との出会い方が、その人の育つ力を豊かにしていくのか」ということをいっしょに探っていきたいと私達は考えています。そして、対話を通じて、自分の内面にあるものと外の世界とのつながりに気づいていって欲しいと願っています。それが、人との関係を築きながら自分の頭で考え自立して生きていく土台となっていくはずです。

■■最近の様子■
 思春期〜青年期の子ども・若者が20名ほど参加しています。多くは学校に行っていない子ども達です。不登校の小中学生については、「まなび場」に通うことで学校出席扱いとなっており(各学校長の判断による)、学割定期も発行されています。どのように時間を過ごし何を学ぶのかは子どもが自分で決めます。トランプやおしゃべりを楽しんでいる人、囲碁・将棋などの対局をしている人、パソコンに向かっている人、木工に熱中している人、絵を描いている人、勉強している人、本を読んでいる人、あるいは、片隅で居眠りをしている人もいたりします。みんなで調理や工作に取り組んだり、DVD映画鑑賞をしたり、近くの公園でサッカーやバトミントンをしたり、バーベキューや遠足に出かけたりもします。  スタッフは、子ども達といっしょに遊んだりおしゃべりしたりしていることもあれば、勉強を教えたり、質問にこたえたり、相談にのったりしていることもあります。子どもとは適度な距離感を持ってつきあいながら、子ども同士の自然な人間関係が育っていくように気を配っています。

■■日々の積み重ねの中で■
 学校に行っていない子ども達にとって、「まなび場」は同世代の子どもおよび大人との人間関係をつくりながら安心して過ごし学べる居場所になっているようです。遊んだりおしゃべりしたりしながら淡々と過ぎていく日常の積み重ねを通して子どもは変化していきます。来はじめた頃は緊張して硬くなっていた子も、徐々にうち解けてきて、その人が本来持っている多面性や多様性をちょっとずつ見せてくれるようになってきます。  私達大人は、子どもが勉強していることで安心したり大人の期待にそった言動をしていることで満足したりしがちかもしれません。しかし、大人の思い通りにはならない子どものあり方からこそ、私達はいろいろなことを学ばされます。そして、私達が子どもから何かを気づかされているときには、子どもにも何かが伝わっていることを感じます。

■■外に開かれていくこと■
 不登校の小中学生の参加状況を毎月報告するなど、子どもの所属学校とは必要に応じて連絡をとりあっています。他の不登校関連団体とは、「不登校・学びネットワーク東海」等を通じて、少しずつつながりあっていこうとしています。民間および公的な相談機関や教育機関から紹介されて訪ねてくる人もいます。様々な団体や個人、地域との連携を今後も大切にしていきたいと考えています。  もっと多くの子どもに「まなび場」の存在を知って欲しいですし、学校に行っている子どもにとっても放課後に気軽に参加できる学びの場でありたいと願っています。外部の人との交流の機会を作ったりスタッフの人数を増やすなど、多様な人間との出会いが広がる場として発展させたいと考えています。

<あいち子育ち・子育てデータブック掲載>(2005.12.29)

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