子どもが不登校になったとき
(下記は、N高校「不登校親の会」から頂いた質問に答えたものです)

子どもへの親のかかわり

 「どのようにかかわるか」よりも、「不登校をどうとらえるか」が、まずは問題だと思います。学校は社会の縮図でもありますが、社会と相似というわけではなく、社会の中のある部分が凝縮されている場です。例えば、人とかかわることは大切ですが、学校のように同じ年齢の人間だけが集まって全員が一斉に同じ事をするといった状況は、社会生活の中ではむしろ特殊なことです。ですから、学校でやっていけなければ、社会でやっていけないということは全くないのです。しかし、学校でやっていけないようではダメだとまわりが思いこんでいると、本人も自信を失い、その結果、本当に生きづらくなっていくかもしれません。そうではなく、学校に行けないことの背景にはその子どものユニークな個性があるわけですから、子どもの個性を見つける機会と考えてかかわって欲しいと思います。そのようなまなざしが、子どもの中にエネルギーを蓄えていきます。

子どもにどんなことが必要か

 学校に行けない自分はダメな人間という気持ちに子どもがとらわれていると、身動きが取りにくくなってしまうかもしれません。不登校は良くない状態だという固定観念から出発すると、先に進みにくいのです。人間関係を築いたり学んだりできる場は学校だけではありません。フリースクールや若者の居場所、塾、地域のスポーツチーム、アルバイト、ボランティアなど、学校外には多様な場があります。今のその子どもに学校が合わないのであれば、子どもの個性にあった場を探してみてはどうでしょうか。エネルギーが枯渇して動けない状態ならば、まずは家でゆったりと休むことも必要です。「どうすれば学校に行けるようになるか」ではなく、「どうすれば生き生きできるか」という視点で考えることが大切です。  学校自体については、本人が行きたくなった時に戻ってもよいし、単位制・通信制高校への編転入、高卒認定で大学・専門学校進学といった選択肢もあります。

親の会について

 私達の気持ちというのは単純ではなく、例えば、子どもに対して「あまり干渉すべきでない」と「放っておいて本当に大丈夫なのか」といった相反する気持ちを抱えていたりします。そのような相反する気持ちが未整理だと、もやもやしてなんだか元気が出ないこともあるでしょう。共通の悩みを持つ親同士で率直に話し合うことが、自分自身の気持ちを整理しいく手助けになるのではないでしょうか。

  <2015年7月>

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